大きなけがや病気をした時に、当事者が一番困ることになるのが退院後の生活です。けがの大きさや病気の内容によってはこれまで勤めていた仕事を休業、もしくは継続して仕事ができなくなる場合は辞職しなければならない事態も考えられます。それ以外にも、後遺症によってこれまで不自由なくできていたことが急にできなくなってストレスを溜めてしまい、心を病んでしまう人も多いです。それにより退院後の再出発ができなくなってしまうという状況を支援するために、ソーシャルヘルスケアワーカー(略してMSW)という相談員を配置する取り組みが各自治体で開始されました。
MSWの役割は多岐にわたり、最初は入院中の生活のサポートから始まります。大きなけがや病気になってしまったときというのは心理的な不安感が募ってしまい、医師が医療行為の説明をしても医療用語の難しさと相まって完全に理解できず、不安感がより増してしまう場合があります。
そこで、患者の気持ち伝達する仲介の役目を果たすのがMSWの仕事です。例えば、どんな医療行為を行うのかを医師から聞き、それを分かりやすく患者に伝え現状の気持ちを聞きます。さらにその気持ちを医師に伝えて、問題解決の援助を行うのです。
他にも、後遺症は周りにも大きな影響を与えてしまい、家族は当事者に対してどんな行動や接し方をしたらいいのかわからなくなりがちです。そこで、MSWではこれまで培ってきた経験から、今後の生活の補助の仕方と当事者である患者の接し方をレクチャーします。さらに患者が社会復帰できるように、ボランティアの紹介や後遺症があっても働ける場所を紹介するなどの再出発のサポートを行います。